2012年5月2日水曜日

特集 課題解決を支援するソリューション紹介 - ヤマトの事業最適化ソリューション|Yamato Solutions


2011年3月11日に発生した東日本大震災は、様々な課題を日本企業に突きつけた。その最たるものがサプライチェーンの見直しだろう。被災地はもちろん、それ以外の地域の企業も、震災によってサプライチェーンを分断され、生産や販売など事業活動の停止を余儀なくされたからだ。

典型的だったのが、部品メーカーが被災したため、長期にわたって海外工場も含め完成車の組み立てに支障が生じた自動車業界。製造業だけでなく流通業も、店舗は無事で販売は可能だったにもかかわらず、商品が調達できずに販売を再開できなかったケースが生じた。それだけに、日本企業の多くが今、BCP(事業継続計画)を考慮したサプライチェーンの構築に動いている。

そのポイントの1つが、過度な集約から生じるリスクを分散することだ。多くの日本企業がこれまで、効率を極限まで追求するため、集約化したサプライチェーンの構築を進めてきた。その代表例が、部品メーカーと一体となって効率的なサプライチェーンを築いてきた自動車業界のジャスト・イン・タイム(JIT)生産方式である。コンビニやスーパーといった大手小売業も、仕入先からの商品納入を物流センターに集約することで、効率向上を進めてきた。

その効率的なサプライチェーンの弱点が、大震災で露呈した。そのため、企業は分散経営、具体的には生産拠点の分散、調達先の分散、ロジスティクスの分散、販売先の分散などを図って、万が一の事態でも、事業活動への影響を最小限に食い止められる体制構築を検討し始めている。

ソリューション・ラボ
山本明徳マネージャー
(ヤマトホールディングス)

サプライチェーンの分散化は自然災害などのリスク対策にこそつながるものの、一方で大幅なコスト上昇を招きかねない。在庫拠点や仕入先が分散すれば、在庫が偏在化し、在庫は大幅に増加するというのがいわば常識である。またロジスティクス経路が長くなれば、部品や製品配送のリードタイムが長くなる。JIT生産を維持するためには、従来以上に在庫を抱えて対応するしかない。運賃や倉庫料金も、当然ながら上昇してしまう。

こうした問題に対してソリューション・ラボの山本明徳マネージャー(ヤマトホールディングス)は、「ヤマトグループが築いてきた全国レベルのプラットフォームと、数々のソリューションを活用していただければ、トータルコストの上昇を抑えて分散経営を実現することが可能です」と言う。


サービス事業を成功させるためにどのように

例えば在庫の増加をどう抑えるか。ソリューション・ラボの吉村一幸アシスタントマネージャー(ヤマトホールディングス)は「原料の調達から販売までそれぞれの拠点で在庫の可視化を実現し、情報を一元管理していることが、在庫の増加を防ぐためには重要です」と強調する。

どこにどれだけの在庫があるのかを正確に把握していれば、分散している拠点全体を、大きな1つの倉庫とみなすことができる。その実現に役に立つのが、『倉庫「見える化」@web』『流通「見える化」@web』など、ヤマトグループの「見える化」ソリューションだ。クラウド型のこのシステムを活用することで、在庫の一元管理が容易に行えるようになる。

ヤマトグループの宅急便ターミナルをあたかも自社のセンターのように活用して、疑似的な拠点分散を実現する方法もある。

例えば関東にしか物流拠点を持っていない企業がリスク対策として、関西にも拠点を設置する計画を立てたとしよう。しかし、通常なら関東と同様の物流施設が必要となるため、多額の初期投資が必要だし、運用開始以降も関東と同様な保管料などが発生するため、二の足を踏む企業が多いだろう。こうした問題を解決するため、ヤマトグループでは現在、宅急便ターミナルに FRAPS (フリーラックオートピックシステム)の導入を進め、それを活用した新たな分散・即日配達ソリューション開発に取り組んでいる。

FRAPS概略図

このソリューションを利用する企業は、例えば宅急便ターミナルに同居しているヤマトロジスティクスの関西の拠点に3日間程度の在庫を置き、当日出荷に必要な商品をオリコン(折りたたみ式のコンテナ)に格納し、ヤマトグループが宅急便オペレーションに使用しているロールボックスパレット(フリーラック)にセットする。

するとターミナルでは、ロールボックスパレットを棚代わりに使用し、DPS(デジタルピッキングシステム)を活用してピッキングを行い、宅急便で顧客の元へ配送する。そのターミナルの配送エリア内の顧客には、15時までの受注ならその日のうちに届けることが可能だ。

このシステムを活用し、必要な分だけ随時、関西の宅急便ターミナルに商品や部品を輸送すれば、実質的には少ない在庫量で拠点分散を実現できる。ヤマトグループのターミナルを活用するので初期投資も少なく、コストを変動費化できる。

現在ヤマトグループでは名古屋と福岡のターミナルにFRAPSを導入済みで、今後、全国の主要ターミナルに順次導入していく予定だ。


どのくらいの円買いは日本で行います

さらに山本は、こんな計画も紹介する。「現在、ヤマトグループでは宅急便の即日配送のエリアの拡大を進めています。現状の宅急便は翌日配送が原則ですが、これを即日配送に対応できるようにネットワークを強化します。まずは東京・大阪間で即日配送の実験を始めています」。

即日配送が可能になれば、拠点が分散化していても、いざという時に必要な商品や部品がすぐに入手できるようになる。その結果、各拠点の在庫も、大幅に減らすことが可能になるだろう。しかもヤマトグループの宅急便のインフラを活用するため、運賃も大してかからない。

BCPの観点からサプライチェーンの分散を考えた場合、配送経路の複線化も不可欠だ。ルートを1つしか準備していない場合、そのルートが使えなくなると、事業が継続できない。「ヤマトグループの配送ネットワークは全国、網の目のように広がっていますから、ルートはフレキシブルに変更できます」と山本は強調する。大震災発生後、宅急便がいち早く復活したことからも、その強さは証明された。

今後は生産の分散化を考慮して、海外に工場を設けるメーカーも増えてくるだろう。その場合は、国内同様に海外工場との間のサプライチェーンの見直しも必要となる。

例えば、納入先のメーカーが海外生産を始めるに当たり、進出先に生産拠点を設けることを要請される部品(1次協力)メーカーも少なくないだろう。その際に問題となるのが、その1次協力メーカーの部品調達ネットワークである。それなりの事業規模を持つ1次協力メーカーとは異なり、その協力会社である部品(2次協力)メーカーの多くは規模が小さく、海外に進出することは難しい。このため1次協力メーカーの多くは、国内に残る2次協力メーカーとの間に効率的なサプライチェーンを構築することが必要となる。

こうしたケースに威力を発揮するのが、「グローバル流通支援」ソリューションだ。これはクラウド型の受発注・納期管理システムと梱包・輸出入書類作成・通関の業務を集約した施設を活用して、国内からの短納期・低コストの部品調達を支援するもの。初期投資がほとんど必要ないことも、特長の1つである。

これとは逆に、海外に進出したメーカーから、製品や部品を輸入するケースも増えてくるに違いない。

そんなケースに役立つのが、「グローバルダイレクト」ソリューションだ。こちらは、海外から日本へ輸入する製品・部品を、日本国内の倉庫や物流センターを使わず、通関後ヤマトグループの宅急便センターから目的地に直接配送してしまうソリューション。


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「その結果、リードタイムは大幅に短縮できます。しかも国内の配送センターが不要になるのでトータルコストも大幅に下がります」と山本はその特長を説明する。

大震災及び福島第一原子力発電所の事故により、この夏以降は人々のライフスタイルが変化することも予想される。

全国的な電力不足に伴い、様々な業種の企業が輪番休業を始めたり、24時間営業の小売店や飲食店が営業時間の短縮に動く可能性が出てきたりすることで、消費行動への影響は避けられないだろう。ライフスタイルの変化について山本は「予想は難しいのですが、外出する人が減り、自宅での『巣ごもり消費』が増えるかもしれません。また、将来に不安を感じ、節約指向が強まる可能性もあります」とみる。人々のライフスタイルが変化すれば、企業もそれに合わせて販売形態などを変えていかなければ、先細りになってしまう。換言すれば、ライフスタイルの変化にいち早く対応できた企業が、これからの勝ち組になるのかもしれない。

ヤマトグループでは、こうしたライフスタイルの変化に素早く対応できるソリューションも用意している。

巣ごもり消費が増えれば、まずネット通販の拡大が予想される。ソリューション・ラボの荒川史生アシスタントマネージャー(ヤマトホールディングス)は「ヤマトグループでは様々な『通販』ソリューションを用意しています。例えば、ネットでの受注後、翌日には商品を届けられる『Today Shopping Service』を導入すれば、顧客満足度が向上するだけでなく、返品率が減少し、収益の向上も見込めます」と紹介する。

24時間営業の小売店が減れば、ネットスーパーを活用する人が増える可能性もある。「ネットスーパーに力を入れる大手スーパーが増えていますが、ヤマトグループの『ネットスーパー』ソリューションを活用すれば、中堅の小売業も早く、低コストでネットスーパーを開業できます。商圏も拡大するので、ビジネスチャンスが広がります」と吉村は強調する。

節約志向の高まりで予想されるのは、耐久消費財が故障した場合、修理して大事に使おうと考える消費者が増えることだ。メーカーは作って終わり、流通業は売って終わりではなくなり、修理などのメンテナンスを含めた顧客対応でCS(顧客満足度)を向上させることが、将来の販売拡大のためにも企業にとっては重要になる。

こうした修理に威力を発揮するのが、「メンテナンスサポートサービス」だ。これは顧客の自宅までヤマト運輸のセールスドライバーが集荷に行き、修理が終わったら配達するもの。「従来よりもスピーディに対応できるので、CSは大幅に向上します」と荒川は言う。


東日本大震災により、被災地のコミュニティは崩壊の危機にある。再興は喫緊の課題だが、地方自治体も大きな被害を受けており、厳しい財政事情の中で今後は民間の力を結集して新しいコミュニティを築くことが重要になる。

東北地方は元々、高齢者の比率が高く過疎に苦しむ自治体が多い地域。こうした高齢者が安心して暮らせるコミュニティの再生は、高齢化が急速に進む日本社会、さらには世界各国のモデルとなることだろう。新しいコミュニティ作りにも「ヤマトグループのソリューションが貢献できると思います」と山本は言う。

例えば、地方に住む高齢者は、気軽に行ける小売店が減り、買い物弱者になりがちだ。一方でパソコンを使えない人も多く、ネットスーパーの利用も進まない。このためヤマトグループでは、ネットスーパーを高齢者でも手軽に使えるタッチパネル方式の宅急便送り状発行端末「ネコピット」を利用したネットスーパーの実証実験を進めている。

高齢者のネットスーパー利用が拡大すれば、安否確認も容易に行えるようになる。ネットスーパーの配送と同時にセールスドライバーが行うことで、コストを抑えつつ、高齢者の安否を確認できるからだ。

大震災は、被災地だけでなく日本全体に大きな被害を与えた。それを克服するためには、大胆なパラダイムシフトが必要だ。ヤマト運輸が宅急便サービスを開始したのは1976年のこと。そしてヤマトグループは現在、その宅急便を即日配送に変更する大きな目標に向かってチャレンジを始めている。「即日配送によって当社でも予測できない大きなビジネスの可能性が広がると思います。大きく変わるヤマトグループのプラットフォームを活用する新しいビジネスモデルを思いつかれたら、アイデア段階でも構いませんので、ソリューション・ラボにぜひご相談ください。全社で知恵を絞って実現の道を探ります」と山本は語る。

(掲載内容は取材時のものです。部署名及び役職名は、現在のものと異なる場合があります。)



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